葛西美空とは(3)ハム太郎チャンス

葛西美空のハムボと決め台詞

葛西美空は「12歳位の時に自分の声を聞いて『自分の声がすばらしい』と感じ、自分はいろんな所にコンプレックスを感じていたが『自分の声』だけは自信を持てていた」と語っている。

『美声』と評されるその声は、様々な声色を使い分けられるよう、葛西美空はかなり以前から試行錯誤を繰り返していたことを語っている。そしてそこから多くの魅力的なキャラクターが生み出されている。

『葛西美空の声』は『葛西美空の最強の武器』である。それが最大限に生かされた事例を次に見ていきたい。

 

葛西美空のハムボ

そもそもハムボとは

葛西美空といえば「ハムボ」が代名詞であるが、元祖というわけではなく、葛西美空ができる声色のバリエーションの一つである。ディズニー映画のキャクター「スティッチ」の声真似から声色の応用が広がり、そこからハムボが完成したと説明している。「葛西美空が全力で応えよう(2022/4/12投稿)」

ハムボはアニメ『とっとこハム太郎』の主人公ハム太郎(CV:間宮くるみ)の声を真似して、あざとかわいいアピールをする発声技法で、2020年ころからTikTokなどのSNSで流行ったものだ。(「ハムボ」については ハムボ.com なども参照してほしい。)

葛西美空が「スティッチ」の声真似の発声方法について解説している。

2分21秒あたりから、ハムボの出し方を説明している。

葛西美空が全力で応えよう(2022/4/12投稿)」

葛西美空が全力で応えよう
https://youtu.be/yyb96BMaBLs?t=141 2022/4/12投稿

 

葛西美空のハムボの起源

2020年に葛西美空がTikTokに投稿した初期の動画「目覚まし用ボイス (TikTok・2021/9/12投稿・削除済)」ですでにハムボの声色は確認ができる。

本人曰く『カワボ(かわいい声)をネタにしている中でハムボを出すようになった「葛西美空の感謝の質問コーナー(2022/10/14投稿)」』と語っており、ネタ動画として明確にハムボが登場したのは 「電話だとハムボになるママ(TikTok・2021/12/8投稿)」が最初である。

葛西美空によりハムボの「あざとい」といったイメージに、「ユーモラスで親しみの持てる」イメージが新たに与えられ、葛西美空の人気が上昇するとともに、「ハムボ=葛西美空」が浸透していった。葛西美空のハムボ」は唯一無二のステータスとなっているのである。

葛西美空は、質問回答動画やライブ配信で「ハムボを始めたきっかけ」を何度か語っている。

1分20秒あたりから、ハムボを始めたきっかけについて語っている。

葛西美空の感謝の質問コーナー(2022/10/14投稿)」

葛西美空の感謝の質問コーナー
https://youtu.be/NKk0vdL5fWs?t=79 2022/10/14投稿
シナリオのある初期のネタ動画。お母さんシリーズの一つ。ハムボがでるネタ動画はこの動画が最初。

電話だとハムボになるママ」は、TikTokでは2021年12月8日に投稿され、YouTubeではその4か月後、2022年4月18日に投稿されている。

電話だとハムボになるママ
https://youtu.be/VP0g5EjXkMs 2022/4/18投稿

 

ハムボ・カワボによるナレーション

葛西美空は動画の中で「ハムボ」または「カワボ(かわいいボイス)」でナレーションやガヤ(雰囲気を作るための外野からの声)などの音声を挿入している。

時に何を言っているのか聞き取れないほどデフォルメされた台詞や、挿入されるタイミングが不特定でその意外性が「葛西美空の動画の、独特の世界観」として、聞く人にとっては、何度も繰り返し聞きたくなる不思議な魅力となり、葛西美空の動画を見るうえでのもう一つの楽しみとなっている。

葛西美空の動画を見るうえで、葛西美空のハムボ・カワボによる音声については、一音も聞き逃したくないのが、ファンの心理であろう。

 

葛西美空のハムボの今後

一方で2023年以降は、いわゆる本来のハムボ(ハムボ発声)でのネタ動画はそれほど多くなく、”葛西ハム”の声(葛西美空がハムスターになり切ったキャラクターの声)を「葛西美空のハムボ」としているケースもある。

ただし葛西美空は本来のハムボを封印したわけではない。葛西美空はハムボをいつでも繰り出せるのである。

 

ハム太郎チャンス

ハム太郎チャンスの始まり

「ハム太郎チャンス」は、ハムスターが頬袋にエサを溜めこんだ仕草をまねした瞬間を、スクショに取るチャンスとして表現したことから始まった。最初は、動画の中の1アクションに過ぎなかったが、これ以降「葛西美空といえばハム太郎チャンス」となっていく。

“ハム太郎” は、言わずと知れたアニメ『とっとこハム太郎』のこと。

最初は、YouTubuの投稿動画「葛西美空とサクサクチキン【ASMR“風”】(2022/8/18投稿)」でデザートのメロンを頬袋に詰めた状態でスクショタイムを演出し、この時は『”ハムスター”』の台詞が挿入されており、まだ「ハム太郎チャンス」は存在していない。そのあとの「葛西美空の大好物、玉こんにゃく(2022/10/9投稿)」で玉こんにゃくを頬袋に詰め込んだ状態で『”ハム太郎チャンス”』を連呼しており、この動画で正式に「ハム太郎チャンス」が生まれたことになる。

ライブ配信でも、「ハム太郎チャンス」の生実演を何度か行っているが、やはり多少なりとも体(頬袋)への負担が大きく、毎回出すようなものでもなく、リアルタイムで見ることのできた視聴者はラッキーであった。

また「ハム太郎チャンス」の音の作り方として、まず音声を5つ録音し、それらにエコーをかけて重ね掛けすることで作り上げる手順をライブ配信で実践して見せたことがある。「【葛西美空】60万人ありがとう配信(YouTubeライブ配信・2023/6/16・削除済)」

 

あの顔の起源(コラ画像の葛西美空の顔)

最初のASMR動画で行った状態の顔画像は、葛西美空公認のコラ画像の素材として、自身や多くのファンによってコラ画像の創作に使用されており、むしろこの「眼をかっ開き、頬をパンパンに膨らませた葛西美空」が本人そのものとも言える状態で、定番の絵面となっている。ファンの間で最も認知された葛西美空を表すアイコンとなっている。その意味でも「葛西美空といえばハム太郎チャンス」なのである。

YouTubeの投稿動画「葛西美空とサクサクチキン【ASMR“風”】」1分20秒あたりで、葛西美空の『あの顔』が生まれた。

葛西美空とサクサクチキン【ASMR“風”】(2022/8/18投稿)」

葛西美空とサクサクチキン【ASMR“風”】
https://youtu.be/fuc4gIROYyE?t=78 2022/8/18投稿
YouTubeの投稿動画「葛西美空の大好物、玉こんにゃく」1分21秒あたりで初めて『ハム太郎チャンス』が生まれた。

葛西美空の大好物、玉こんにゃく(2022/10/9投稿)」

葛西美空の大好物、玉こんにゃく
https://youtu.be/smJVSpkT770?t=82 2022/10/9投稿

 

めぅ!

「めう!」とは何か

「めう」はもともとは、2012年11月に始まった、Web連動音楽配信企画『ひなビタ♪』(コナミ)の芽兎めう (めうめう)というキャラクターに由来し、語尾に「めう」を付けて可愛さを演出するネットミームである。

葛西美空の「めぅ」はこの影響もあるであろうが、ハムボとヤギの鳴き声を合わせたネタ動画がきっかけとなり、完全に葛西美空オリジナルの決め台詞となっている。葛西美空の場合、語尾に「めぅ」を付けるのではなく動画のサムネール画像などで、単独で「めぅ」を使用するケースが多く、ライブ配信などで実際に「めぅ」と言ったことは無い。

人間に対して悪態をつくヤギをハムボで演じている。

ハムボなヤギ(2022/4/21投稿)」

https://youtu.be/_4R3I7EXyFQ 2022/4/21投稿

 

葛西美空の「めぅ!」

「めぅ!」は葛西美空のED(エンディング)テーマ曲の締めの歌詞にもなっている。この曲によってファンの多くが「めぅ!」は葛西美空の雄たけび(鳴き声)であると印象づいている。

2023/4/2にEDテーマ「とどろけおののけ葛西美空」が発表された。

動画の説明欄にある歌詞では、カタカナで「メゥ!」となっている。

EDテーマ「とどろけおののけ葛西美空/葛西美空(2023/0/4/2投稿)」

EDテーマ「とどろけおののけ葛西美空/葛西美空」
https://youtu.be/iFG5bjOW92w 2023/4/2投稿動画

 

この記事の後書き

「ハムボ」「ハム太郎チャンス」「めぅ」などの “決め台詞” がある動画クリエーター(動画配信者)は、探そうとすると、案外といないものである。お笑い芸人でいえば “持ちギャグ” “定番の一言” のようなものであるが、このようなものがファンの間で浸透するには、エンターティナーとしての相応なスキルと人気、肯定的な認知(好かれること)が必要で、そういった意味では、明確な “決め台詞” を苦も無く作り出し、ファンの間に浸透させられることは、葛西美空の才能の一端を示す証拠であろう。

葛西美空が動画で見せる「ハムボ・カワボ」でナレーションやガヤは「葛西美空の動画の、独特の世界観」として、葛西美空の大きな魅力となっている。

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