ニコたんアニメ
2024年11月9日のYouTubeでのライブ配信を皮切りに、「ホロライブ」の女性VTuberグループ「FLOW GLOW(フロウ グロウ)」のメンバー「虎金妃笑虎(こがねいにこ・ニコたん)」の中身の人(⁉)が活動をスタートさせている。※FLOW GLOW・虎金妃笑虎としては2024年11月7日からYouTube・Xでの投稿が開始されている。
虎金妃笑虎のYouTubeチャンネル「Niko Ch. 虎金妃笑虎 – FLOW GLOW」では主にショート動画内で、「ニコたんアニメ」として、アニメーションによるショートのネタ動画が2日~4日に1本のペースで投稿されている。また、他のホロライブメンバーのアニメ動画へのコラボレーション出演も行われている。
葛西美空は自身の名刺の肩書に「 Comedy Scenario Writer(コメディ シナリオ ライター)」と記しているほど「ネタ動画作り」は自身の最大の才能(特技・得意技)であることは、当然の如く自認しているだろう。
多忙を極める、有名プロダクション所属のVTuberタレントが、あえて、ネタ動画の制作を続けることには、葛西美空本人のネタ動画に対する強いこだわりを感じる。同時に周囲の期待もあるはずだ。
何よりも、決して止めることなくネタ動画を作り続け、作品を積み重ねていくことが、葛西美空の将来に多大な影響をもたらすことは確かだろう。
ニコたんアニメの特徴
ストーリーの特徴
ニコたんアニメでは「虎金妃笑虎(ニコたん)」が主人公として登場し、サブキャラの行動や言動にツッコミを入れていくパターンが多い。葛西美空時代のネタ動画では、主人公がボケで、サブキャラがツッコミをいれていくスタイルが多かったが、ニコたんアニメではその真逆になっていることになる。
サブキャラは毎回違うキャラクターが登場しているが、唯一女性マネージャー役の「マネちゃん」がサブキャラクターとして複数回登場している。
サブキャラについても(当然ではあるが)基本的に虎金妃笑虎(葛西美空)が演じる一人コントとなっている。
またそれとは別に、FLOW GLOWのメンバーをゲストに呼んだ動画が投稿されるなど、従来にはない新しいチャンレンジが増え、今後の展開には目が離せない。
マネージャー(マネちゃん)は女性である。
葛西美空時代にも、良き理解者としての女性のマネージャーがついていたことを語っている。記念すべき1本目の作品でさっそく登場しているマネちゃん。ピンクのリボン型の髪留めがチャームポイント。
「ネイル長さ出ししてもらった奴」#ニコたんアニメ 2024/11/12投稿動画
FLOW GLOWのメンバーを迎えた、意欲的な作品が投稿された。
FLOW GLOWのリーダー「響咲リオナ」へのニコたんの愛が存分に表現されている。リーダーのお芝居もまたプロフェッショナルであることを感じさせる。
「なんか全部惜しい奴」#ニコたんアニメ 2025/02/01投稿動画
ニコたんアニメのキャラ設定
アニメの「ニコたん」には、以下のような設定がある。
- 虎金妃笑虎(ニコたん)は主役として必ず登場する。
- 普段の虎金妃笑虎(ニコたん)以外に、JK、先生、母親などの役になることがある。
- 虎金妃笑虎(ニコたん)は、小さな子供が好き過ぎる。
- 虎金妃笑虎(ニコたん)は、お父さんに対しては若干の反抗期。
- サブキャラは毎回違うキャラクター(人物)が登場する。※お父さんお母さんも基本的にはそのストーリのみの人物。マネちゃんだけは例外。
小さな子供が好き過ぎるのは「葛西先生」からの設定の継承。
「葛西先生」の時のはセンセーショナルな状況で子供が好き過ぎることをカミングアウトしていたが、ニコたんの場合はネタ動画の中で「虎金妃笑虎は子供が好き過ぎる」ことをさらりと暴露しているケースが多い。
「修学旅行の夜にすることいえば… #ニコたんアニメ(2024/12/6投稿動画)」
ちびニコたん
虎金妃笑虎(こがねいにこ)となっても、葛西美空のカワボ(ハムボ)声を使用した 「カワボしゃべり」 は、葛西美空のころと同様に、雑談などでの感情表現のアクセントとして頻繁に使用し、虎金妃笑虎の特徴となっている。
歌みた(歌ってみた)動画の、スタジオ録音された歌唱においても、カワボ(ハムボ)を駆使し、動画の歌唱に深みをもたせ、他のアーティストにはない、虎金妃笑虎(葛西美空)ならではの作品に仕上げている。
葛西美空の頃は「葛西ハム」として登場していたが、虎金妃笑虎の場合はこれら「カワボしゃべり」 の声の主を「ちびニコたん」と称している。
ちびニコたんは、例えばであるが「【まいたけダンス】(儒烏風亭らでん先輩)」のように、何らかの流行りもの(ミーム)の元になれる可能性は十分にある。ちびニコたんを前面に出したかわいらしい動画作品が作られれば幅広い層に受け入れられる可能性が高く、明確なサブキャラクターとして活躍させることには十分なポテンシャルがあると思われる。
葛西美空にとっての「葛西ハム」と同様に、「ちびニコたん」の声は一人の人間の同じ声帯から発せられる訳ではあるが、虎金妃笑虎にとって「ちびニコたん」は欠かすことのできない最良の相方(パートナー)となっていくことに期待をしたい。
ちびニコたんは、最初の歌みた動画から、ちょこまかと動きまわっている。
「【初歌ってみた】シカ色デイズ 【虎金妃笑虎】」 2024/11/9投稿動画。
※ただし、歌を歌うことをメインにしたライブ配信(歌枠配信)では、ちびニコたんの歌唱を入れることは、編集ができない為に難しく、ほぼ、ちびニコたんは登場していない。
アニメ動画の制作コスト
アニメ動画の作成にかかる作業
一般的には以下のような作業工程が必要で、今までのネタ動画のような作業工程のように「思いついたら撮影できる」「直前まで修正できる」といった自由度はなく、事前に作業計画を立て、多くの制作時間を要しているの筈だ。
- シナリオの作成
- 絵コンテの作成
- アニメーション制作会社への依頼(内容に関する打ち合わせ)
- 受け取ったアニメーションへのアフレコ
- 編集と文字入れ
- プロダクションへの確認、打ち合わせ等
アニメーションは一度出来上がってしまうと、その後の修正には限界がある為、シナリオの推敲には大きな影響があると思われる。また、絵コンテの作成も今までには無かった作業となっている。投稿当初の作品には、コマ割りなどに迷いがあるような作品も散見された。
これらの作業負荷は、今までのような「毎日投稿」ではないにしても、他のライブ配信や、スタジオ録音などのタレントとして必要な仕事をこなしながらの作業となり、本人の体力的な影響にも配慮が必要となる。
一方で今後、虎金妃笑虎がアニメ動画作成に費やせる限られた時間の中から、”新しい何か” を生み出していく 可能性は、大いに期待ができるのではないだろうか。
葛西美空のネタ動画については、他の投稿者によって多数の二次創作動画が投稿されている。それほどまでに葛西美空のネタ動画の秀逸性が評価されていることになる。
ニコたんアニメにおいても、他のYouTuberによる “ライブ配信の切り抜き動画” に収まらず、二次創作の元ネタにされたり、ネットミームの元ネタになるなどの「多くの人に評価される動画」の投稿に期待したい。
アニメとしてのコマ割りが一段と進化した、ニコたんアニメの秀作の一つ。
ストーリーの進行とともに、ネタの内容に合わせて画面の構成が見事にリンクしているのが解る。
「マッチ売りの少女に出会った結果」#ニコたんアニメ 2022/1/10投稿動画
「ニコたんアニメ」の費用を試算
「ニコたんアニメ」は、基本的にリミテッドアニメーション(イラストを動かすタイプ)で、フルアニメーション(フレーム単位で絵を動かすタイプ)ではないのでその分の製作費は低く抑えられる。それでもアニメーションの制作会社(プロ)に依頼する必要はあり、その分の費用(コスト)は必要だ。
また、イラストについても、ネタ動画ごとに新キャラが出るためその分を新規に描く必要があり、イラストレータへの依頼も継続的に必要になる。
実際の契約条件や依頼先・依頼方法によって単価(金額)は変動するため正確には試算できないのだが、一つのネタ動画について一般的な相場感で考えると以下の通り。ニコたんアニメの場合は単発ではなく、半年で50本以下といった包括契約を仮に想定。※単発発注は金額が上がり、発注側のメリットが無い。
・イラスト:1作品を1点とする 5万円×50本=250万円
・アニメーション:60秒以内 10万円×50本=500万円
上記は、あくまで一般的な相場感での金額で、実際の費用(コスト)は判断できない。それでも半年で数100万円単位の金額が必要にはなるだろう。一方で葛西美空の時のネタ動画の制作費用(コスト)は0円である。
この費用(コスト)は、プロダクションが肩代わりしている可能性が高いが、仮にそうであった場合、虎金妃笑虎とプロダクションの契約の中には数字での契約事項(制作目標≒ノルマ)があることが通常だ。
これだけの金額をプロダクションが資金投入(投資)し、目標を設定しているとすれば、「ニコたんアニメ(虎金妃笑虎のネタ動画)」の価値をプロダクションや関係者が認め、その価値を高めていこうと考えていることの表れであり、『虎金妃笑虎(葛西美空)のネタ動画』が多くの人に評価され、期待されていることの裏付けでもある。
社会人になったら「契約書」の大切さを痛感するのが、多くの人の通る道。
虎金妃笑虎になる際、プロダクションや事務所との間で、様々な「契約書(業務上の約束事)」を交わしたはずである。最近は印鑑レス(署名で可とする)であることが多いが、それでもその書類の多さに本人も驚いた可能性が高い。そんな経験が表れたネタ動画かもしれない。「自分虎なんで… #ニコたんアニメ(2025/2/19投稿動画)」
この記事の後書き
「ニコたんアニメ」のネタ動画と、カワボしゃべりの「ちびニコたん」は、葛西美空から継承された、虎金妃笑虎にとって特に大きな財産となっていることは確かだ。
一方で「ニコたんアニメ」については、今までにない環境・フォーマットでのネタ動画作成ということが原因なのか、当初のネタの中には、素人が見ても「葛西美空の作ったネタ動画とは思えない」迷走したシナリオの動画が何本か投稿されている。
ホロライブでの活動を開始したばかり、そしてアニメーションフォーマットという未経験の事態に、シナリオ作成に何らかの影響があった可能性や、第三者の意向等が不用意に持ち込まれた可能性も否定できない。
しかし、徐々に葛西美空らしい内容のシナリオが多くなってきていることも感じられ、今後も投稿される「ニコたんアニメ」については、目を離すことができない。